東宝初演から15年が経った記念すべき今年に主要キャストが総入れ替えになった東宝ミュージカル「エリザベート」。当初の予想通りスマッシュヒットとなり上演中です。
「モーツァルト!」「レディ・ベス」のクリエイター陣が贈る珠玉の音楽で綴られた愛と死の物語は、装いも新たに大幅なリニューアルを加えての再演。その大きな特徴の一部として今回書き加えられたのが、主人公シシィといわば対立の立場となる皇太后ゾフィーといわれています。
今回は宝塚歌劇OGふたりがそれぞれの個性で挑むゾフィーに焦点を当てて東宝版エリザベートを紹介していきます。【公演情報】6/13(土)~8/26(水) 帝国劇場(東京)
[エリザベートの新局面]勧善懲悪とならない物語の深み
(出典:twitter)
今回の公演で、ゾフィーをwキャストで演じるのは、ともに宝塚元トップスターとなる60期の剣幸さんと、72期の香寿たつきさん。
そのカラーの違いが、際立っていて「エリザベート」という、ストーリーにまたひとつのページを加えたことになっています。
ふたりの違いは、これまであったただシシィの自由の障壁となる存在ではなくなり、より人間らしさを前面に出したもの。
[エリザベートの新局面]ふたりの舞台巧者がつくる新しい皇太后
宝塚版シシィは初演から、過酷な運命にさらされつつ自由な魂を追い求める、哀れな美しい少女であるのに対し、皇后という型にはめようとするのが義母ゾフィーという形が出来上がっています。
しかし特に今回観客が驚いたのは、ゾフィー自身もただ国を思うひとりの女性であったことがうかがえる演技、演出であることです。
特に剣ゾフィーにその傾向が顕著であるのに対して、香寿ゾフィーは歌に冷酷さにを込め、徹することで観客の心に訴えかけています。
たーたんゾフィーが表情消えてた。初日は優しい声で損してるって思ったけど鉄の女傑に進化してた。好き…。この個人の感情を徹底的に隠して厳しさ一辺倒だったゾフィーが晩年あの歌を歌って逝くのかと思うと今から泣ける。たーたんこのまま冷たいゾフィー極めてほしい
— あっちょ (@risyaderella) 2015, 6月 27
[エリザベートの新局面]意外な組み合わせがミュージカルを面白くする!
(出典:twitter)
東宝エリザベートには、剣さんは初出演となり、反対に香寿さんは宝塚初演でルドルフを演じていることから感慨深いというファンも多いようです。
宝塚では考えられないキャストが外部ミュージカルの魅力のひとつでしょう。
ふたりの年齢差もあり、その役作りの違いはリピーターファンにも納得の演技をみせてくれています。