(出典:公式サイトより)
2016年大作『エリザベート』が宝塚歌劇に帰ってきます。各組でそれぞれの個性を出して上演されてきたこの名作も組単位で考えるなら2巡目になるということで、今度は宙組での公演です。
その宙組にとってはなんと18年ぶりになり、今のチームワークの豊かでフレッシュな世代の宙組でどのように表現されるかもみどころのひとつ。宙組『エリザベート』の魅力とポイントをご紹介します。
宙組『エリザベート』見どころ:演出に小柳先生
(出典:ステージナタリーより)
今回の宙組『エリザベート』から、演出には小池修一郎先生のほかに小柳奈穂子先生が名を連ねています。これまで雪組公演『ルパン三世』や、雪組公演『Shall we ダンス?』で原作と宝塚歌劇とのコラボに成功してきた小柳先生。
『エリザベート』初演から20年、宝塚のそして日本ミュージカル界の宝となるこの作品にどんな新しい雰囲気を持ち込むことができるのか、さらにはどんな宝塚らしさが加わるのか。幕が開いてみないとまだわかりませんが、その手腕にも注目です。
宙組『エリザベート』2016年はまさに「エリザ」イヤー!
宝塚版だけでなく『エリザベート』は、2016年に東宝版も帝国劇場、博多座、中日劇場など全国ツアーを敢行します。まさに国内ミュージカル界は『エリザベート』一色。こちらは2015年に再演され、それまでのキャストの一新と重厚さからPOPな雰囲気へと演出の変更が話題になっています。
通常の海外ミュージカルとは違って、このあたりの演出の変更が柔軟性に富んでいるのも『エリザベート』が、何年かけて再演しても飽きられず絶賛されている理由のひとつかもしれません。東宝版の演出には加わってはいませんが、小柳先生の
「毎回同じことを掘り起こしてやってはいるんですが、組の色で変わっていくところがあって、そこがいい意味で歌舞伎的。変わっていないように見えて、変わっている」(引用:ステージナタリーより)
の言葉の通り、時代に合わせて変わり続けることの可能な生きたミュージカル、それが宝塚宙組『エリザベート』なのです。
宝塚宙組『エリザベート』 改めて「死」がなにかを問う
先ごろ行われた宝塚宙組『エリザベート』の製作発表会において、宙組トップスター朝夏まなとさんのトートと実咲凜音の『エリザベート』ふたりの歌をみて小池先生は、
「色んなものをそぎおとして核心をついたトート」(引用:ステージナタリーより)
と表現しました。ただビジュアルで圧倒するだけではない、シシィへの愛情とそれに相反するものになる「死」という対比。全く相いれない価値観同士がどう融合することができるのか。シンプルではありますが、それがもしかしたら小池先生の言った「核心」なのかもしれません。
トートというキャラクターがあまりにもこれまでたくさんの名俳優、女優によって演じられてきた過程もあって、強さや悲しみなどさまざまな要素や実際に自分が演じるとなると戸惑うという意見もあるようですが、朝夏さんもそのプレッシャーに勝つ自分だけのトートを目指してほしいものです。
宝塚宙組『エリザベート』が古びないための挑戦
『エリザベート』の初演から20年。ミュージカル市場は劇的に変化を遂げました。一部の高級な趣味と思われていたものが、コミックやゲーム原作をもとにして若い世代に好評の2.5次元ミュージカルの台頭はその良い例です。
「死」そのものの擬人化、「黄泉の帝王」という当時は新鮮だった主演の位置づけはミュージカルというジャンルだけに限定してももはや『エリザベート』だけの新しい趣向ではありません。この先何十年かもミュージカル『エリザベート』が観るひとの心に生き続けるために、宝塚歌劇がしかける新演出がどのようになるのか。ぜひ注目したいポイントです。
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