宝塚歌劇2017年の演目の発表が前半部分までですが、出されました。
100年以上の歴史を誇る宝塚歌劇は、時代の先々を読み、そのニーズをとらえヒットを生み出してきました。それはこれまでの芝居やショーとは違う新しさを演出家たち、そして演じるタカラジェンヌたちがおのおの試行錯誤を重ねてきた結果ともいえます。
それでは2016年から2017年にかけての宝塚歌劇における芝居の新しい傾向とは何なのでしょう?独自視点で紹介していきます。
宝塚歌劇における芝居演目はその時代を映す鏡だった?
宝塚歌劇の長い歴史の中では、特に本拠地となる大劇場公演はその時代のニーズを映し出す演目としてファンから注目されてきました。
古くはよく知られている70年代の少女漫画ブームと連動して宝塚歌劇を関心のない層にまで知名度を上げた『ベルサイユのばら』。
(出典:www.tca-pictures.netより)
そして世紀末の不安が世界中で広がっていた90年代、「死」という概念を黄泉の帝王という形で擬人化させてヒットした『エリザベート』。
(出典:kageki.hankyu.co.jpより)
こうみてみると現在発表された演目、そしてこれから発表されるであろう各組の芝居演目はヒットするだけの理由があることがわかります。つまり現在を生きる私たちファンのハートをつかむ内容を把握しておく必要が演出家をはじめとした製作側にあるのです。
2016年~2017年 宝塚歌劇お芝居は日本物がトレンド!
2016年初頭 異例のヒットを飛ばして各マスコミにとりあげられたのが雪組公演『るろうに剣心』でした。
(出典:kageki.hankyu.co.jpより)
90年代から2000年代にかけて大ヒットしたコミックの宝塚歌劇での初の舞台化は発表当時、ファンを驚かせましたがもともと和物の雪組として数多くの日本物をこなしてきた実績から成功を収めました。
そしてこの8月から上演されているのが星組公演『桜華に舞え』。
(出典:kageki.hankyu.co.jpより)
幕末の過酷な時代を生きた実在の人物たちを真摯に描ききったトップスター退団公演となるこの舞台は、最近では和物とはほとんど縁のなかった星組の歴史に残る名舞台となっています。
そして来年の春、初舞台公演となる雪組の芝居として発表されたのが『幕末太陽傳』です。
(出典:Twitterより)
1957年公開の日活映画をベースとしたこの芝居は幕末の時代の遊郭を舞台にした異色作となります。ここ最近は和物を上演することが減少していたことを考慮すると、この上演サイクルはハイペースといえるでしょう。
つまり、2016年から2017年にかけての宝塚芝居は「日本物」、」しかも「幕末」が大きなキーワードになるといえそうなのです。
なぜ今宝塚歌劇の芝居に「幕末」が選ばれるのか?
(出典:mainichi.jpより)
幕末期はこれまでは江戸や京都、新撰組などがメジャーでしたが、今回のそれは薩摩や遊郭などこれまで題材としてメインでとりあげられることはなかったものに光が当たられ始めています。
それはまるでベルばらという側面でのみフランス革命をみてきた時代を経てきたからこそ、『1789』や『スカーレット・ピンパーネル』、などの作品がファンに受け入れられヒットした構図と似ているともいえます。
もしかしたら時代の転換期に命をかけて生きた幕末の男女たちの生き様と宝塚の美意識のマッチングが、今の時代にやっとめぐりあうことができたということなのかもしれません。
宝塚歌劇の芝居から得る感動
(出典:mainichi.jpより)
宝塚歌劇芝居の最近の傾向、そしてこれから先を予想してきました。
もちろん宝塚歌劇の芝居つくりは、通常の外部芝居とは違いその組の持ち味、カラーに合ったもの、そしてなによりトップスターの役に合ったキャラクターから考えることが求められる演劇ですのでたまたま日本物幕末ストーリーが続いただけという可能性もあります。
とはいえせっかくの新作芝居ですから、予備知識なしに堪能するのもよし、本や関連する映画やドラマであらすじを知ってから観劇するのもよし、自分のスタイルをもって宝塚を観ることが観劇の感動をさらに倍増させる秘訣といえるかもしれません。(文・seikacat)
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