2015年の正月公演で「ルパン三世 / ファンシー・ガイ」を好演した宝塚歌劇雪組トップ、早霧せいなの第2作「星逢一夜/La Esmeralda」が7月17日(金)に開幕しました。
涙なしでは見れない、そしてまさに病み付きになりそうなこの作品。観劇に行かれた方からは、多くの好評の声があります。
星逢一夜、観る回数が増える度に泣く場面が増え、お芝居中の静寂の中観客のすすり泣く声が客席に響き渡り、幕間にすれ違う人皆がハンカチで口元を覆って涙を拭いているという恐ろしい公演です 千秋楽どうなるかな
— ちゃんみお (@strt_tea0627) 2015, 7月 20
星逢一夜、涙が止まらない。コトバにもうまくならない。ただただどこまでもセツナイ。そして、そのセツナサからの熱い熱いエスメラルダの応酬!!!!テンションマックス。病みつきになりそう、いや…なる。 pic.twitter.com/9ZcUEf9dUm
— yuya (@u_u_yuya) 2015, 7月 19
観劇レポ・感想などを参考に、ネタバレにならない程度で、この作品の魅力をご紹介したいと思います。
これから観に行かれる方は、見どころをチェックしていくとまた別の目線で見れるかもしれません。
宝塚雪組「星逢一夜」は語り伝えられる上田久美子先生大劇場デビュー作
月組バウホール公演『月雲の皇子』、宙組ドラマシティ公演『翼ある人々』と名作を生み出してきた上田久美子先生の大劇場デビュー作です。
舞台は江戸時代の日本、九州の小藩の部屋住みから幕府の表舞台で活躍するという数奇な運命をたどる主人公・晴興(早霧)を中心に、小さな藩の小さな村で暮らす少年・源太(望海)と少女・泉(咲妃)の三人が織り成す情感溢れるリリカルな心の物語。
個人の力ではどうにもならない時代の嵐に巻き込まれ、翻弄されながら懸命に生きる人々・・・殿さまから百姓まで、時代の波のなかで、それぞれが相手を思いやり、すれ違い、真摯な想いが交錯する・・・。
(出典:宝塚歌劇公式HP)
往年の柴田作品を髣髴とさせる「空間を読む」物語、言葉にならない台詞を読み取り、心と裏腹の行動からその思いを汲み取る・・そんな切ない切ない物語です。
もちろん主人公三人以外の登場人物にも、ひとりひとり想いがあり、さりげない台詞、ちょっとしたしぐさで、観客に伝わってきます。
さすが上田先生!さすが雪組生!日本人なら涙なしでは見られない、そんな日本情緒溢れるお話です。
宝塚雪組「星逢一夜」の魅力ポイント
舞台装置が見もの
上田作品といえば、舞台装置や音楽の美しさにも言及したいところ。脚本は行間に情感がたっぷり詰まっていますが、それを更に盛り上げる装置や大道具、背景までもが、大事な台詞を語ります。
蛍の飛び交う小さな村、森の木々の間から見上げる切り取られた空、樹幹を見上げる子供たち、手作りの小さなやぐら・・江戸の町に降る雨、星のきらめく夜。どの場面も、そこにいる人々の心情を表すように、雄弁に語りかけてきます。
人物以外にも注目してみてください。語らない台詞が聞こえてきます・・・。
星逢一夜。哀しくて懐かしい御伽噺のような。繊細な青いガラス細工が割れる、その涼しげな破滅の音のような。静かで痛くて、どこまでも優しくて愛おしいあったかくて、全ての一瞬が愛の、人の、物語だった。こんなお芝居を宝塚で観られるとは思っていなかった。切なさで胸が痛い。
— かも (@812_10ue) 2015, 7月 17
この物語を味わうには
片田舎の小藩の、更には側室に生まれた気楽な次男坊・紀之介(晴興の幼名:早霧)は星を見るのが大好きな少年。村に出かけてであった少年・源太と少女・泉と出会い、村の子供たちと一緒に友情を育んでいく。その中でも、一揆があり彼らの父が処刑され、命令を下したのが自分の父であることを知る・・が、源太は紀之介を友人として扱ってくれる。そのときの少年たちの表情!必見です。
幸せな時代はあっという間に過ぎ・・・子供たちは大人になっていく。それぞれの立場、生き様が、理解しあう彼らを敵対関係に駆り立てていく。年月の経過とともに状況が変化していき、それぞれの立場から、誰も悪くないのに状況が悪化する様子が展開されます。
結末を知ってから、この3人の心理と状況を見ると、また初見のときとは違う感想を持つはず。それほど深いお芝居です。この物語を味わい尽くすために、絶対に複数回見ることをお勧めします!
(出典:twitter)
取り巻く人々にも注目を
まずは将軍吉宗(英真)。名君と名高く歴史の教科書で習った享保の改革を実行し、江戸時代の中興の祖といわれる吉宗。しかしながらその影では、多くの農民が苦しみ命を落としていた・・将軍も、それを実行した晴興も、分かっていて実行するしかなかった。そんな為政者側の苦しみや哀しみも描かれています。
晴興の心が自分に無いのを知りつつ、彼らのために力を貸す貴姫(大湖)も、凛とした聡明な女性として存在しています。江戸の施政者たる老中(奏乃)たちも国を憂え、抜擢された晴興に対する嫉妬や妬みで行動していないことを、少ない台詞から感じ取ることできました。
晴興の両親や、養育係の鈴虫(香稜)もまた、複雑な思いを抱え、晴興に寄り添っていきます。目が足りません・・・。
(出典:宝塚歌劇公式HP)
言葉で語りつくせない物語
「星逢一夜」―――この題名の意味を、一度見てから考えてみる。
いくら書いていても書いても、この物語の本当の良さを語りつくせない・・そんな気がします。
まずは一度見てみて下さい。きっと伝わる何かがあるから。二度見て下さい。見る度に、何かが伝わってくるから。日本人なら心に響くものがたくさん詰め込まれたこの物語。日本文化を研究したい方にもお勧めです。
心優しき雪担さんたちが極力ネタバレを避けようとツイートされてる様子が、繊細な星逢一夜という作品をとても大切にまるでガラス細工を丁寧に扱い、美しくラッピングしているように思えて、それだけでも泣けてくる。
— しラたま (@untired_vaslav) 2015, 7月 20
星逢一夜、観る回数が増える度に泣く場面が増え、お芝居中の静寂の中観客のすすり泣く声が客席に響き渡り、幕間にすれ違う人皆がハンカチで口元を覆って涙を拭いているという恐ろしい公演です 千秋楽どうなるかな
— ちゃんみお (@strt_tea0627) 2015, 7月 20