いよいよ11月より珠城りょうがトップスターとなって初めての舞台、プレお披露目公演となる『アーサー王伝説』が幕を開けます。
相手役に愛希れいかを迎えてのこの舞台は、昨年2015年に世界初演としてフランスで上演された海外新作ミュージカルです。
宝塚歌劇ではトップお披露目や退団などとりわけ重要な公演では、かつての名作を再演したりまた海外からの大作新作舞台を上演する例が多くみられます。
そしてトップお披露目やプレお披露目としてセレクトされる演目は、劇団側のその組、そのトップスターたちへの期待のバロメーターともなりうるのです。
フレンチミュージカル『アーサー王伝説』の概要と、そこからみえてくる新生月組の魅力を紹介していきます。
月組公演『アーサー王伝説』 その概要とこれまでの経緯
ミュージカル『アーサー王伝説』は、およそヨーロッパ圏では知らぬ人はいないだろうと思われるほど有名なアーサー王の伝説がもとになっています。それを月組とはなじみ深いミュージカル『1789』の作曲家ドーヴ・アチア氏が物語の舞台となるケルトの音楽をフレンチミュージカルとしてアレンジしなおして上演した大変挑戦的な作品です。
同じ作曲家であることも、フランス版も『1789』とほぼ同じキャストが出演して好評を博しているなども、宝塚と共通点が見いだせることからもこの作品が月組で上演されるのはもはや繋がりとして必然であったのかもしれません。
月組版ポスター画像からわかるようなその派手なコスチュームも、フレンチミュージカルには珍しい激しいアクション殺陣、そしてどこまで宝塚版で採用されるかは未知数ですが、随所に映像を多角的に取りこんだ演出も、知れば知るほど月組の若いトップコンビの実力を生かすに最適な演目であるということがよくわかります。
キャストとあらすじからみどころを予測 月組公演『アーサー王伝説』
アーサー王伝説自体はあまりにも有名なものであるため、あらすじのおおまかなところはミュージカルと大差はありません。
ただやはり物語の中心はミュージカルでは恋愛に置かれています。
この場合の恋愛とは、アーサー王の珠城さん、妻であるグィネヴィアの愛希さん、そして朝美絢さんが演じる彼女を愛してしまうアーサー王の部下円卓の騎士ランスロット。
さらには物語中盤の要となる場面で大きな役割を果たす輝月ゆうまさん演じるメリアガンスも、恋敵として描かれています。
物語ラスト、アーサー王が下す決断がこの舞台の名シーンとなることでしょう。
恋愛と対となっている「運命」というワードも多く出てきますので、宝塚版では恋愛と運命の比重にも要注目です。
月組公演『アーサー王伝説』 宝塚海外ミュージカルの傾向
『アーサー王伝説』の宝塚版潤色・演出は、石田 昌也先生。
ここ数年は2013年宙組公演『モンテ・クリスト伯』や花組公演『カリスタの海に抱かれて』など、冒険活劇ストーリーの原作脚本を独自の視点で演出する傾向にあります。
『アーサー王伝説』が、フランス版とは違う宝塚歌劇の舞台としてどんな進化をとげるのかは、まさに演出家しだいです。
『1789』が宝塚ファンにはなじみ深いフランス革命を主題にしたミュージカルであったため、すぐに物語に入り込めましたが『アーサー王伝説』は宝塚で題材になったことはあるものの詳細は知らないひとが多いと思われます。
これからの情報解禁が待ち遠しいところです。
月組公演『アーサー王伝説』が導く月組の未来
宝塚初演、合わせて国内初演となる月組公演『アーサー王伝説』のみどころと魅力を多角的に紹介してきました。
前トップスター龍真咲さんとはガラリと雰囲気を変えて贈る新たな月組の華やかな歴史大作、新しい宝塚の王道ミュージカルの発信を見逃さないようにしてください。