耳の奥にいつまでもこだまするメロディに、まぶたに焼きついて離れない煌びやかな衣装の数々。
終演後、都会の喧騒の中に身を投じてもつい先程まで観ていた甘く切ない恋物語が美しい衣装の記憶と共に脳裏を駆け抜けていきます。
宝塚歌劇団の代名詞とも言われる美しく煌びやかな衣装。今回は、私たちの記憶に残り続ける衣装を生み出し舞台の上に送り出す、宝塚歌劇団のお衣装部についてご紹介します!
お衣装部の役割
一昨年のツアーで宝塚お衣装部さんに依頼したもの。渋谷まで観に来たー!両方大好き!すごく手が込んでて、舞台映えもすごかった! pic.twitter.com/yedFDF0JXG
— あやぱん (@snowsmazk) December 24, 2016
宝塚歌劇団の衣装は、デザイナーが描いたデザイン画を基にした製作から本番の早替えまでのお衣装部の仕事を全て宝塚歌劇団専門の舞台製作会社、宝塚舞台が担当しています。
公演にもよりますが、2幕ものの公演で1幕が芝居、2幕がショーですと、芝居で約200着、ショーで350~400着の衣装を使用します。
約50名のスタッフで準備、製作し、約15名のスタッフが本番付きとして早替え、洗濯などのメンテナンスをしています。
1枚のデザイン画から照明の光を浴びるまで!
さて、お衣装部のざっくりとした役割が分かったので、どのような流れで1枚のデザイン画から形になり照明の光を浴びるようになるのかを見てみましょう。
- <デザイン>
- <製作会議>
- <発注>
- <衣装合わせ>
- <舞台稽古>
- <通し稽古>
- <本番>
初日の約2カ月前に、その公演を担当する劇団専属デザイナー、または、外部のデザイナーが全デザイン画を提出します。
デザイン画を元に生地量や飾り部品の量がどれだけ必要かを会議します。
作り物を発注します。宝塚舞台で作るものもあれば、近年は中国の工場に製作を依頼しているものもあります。製作は前の組の初日が開けてから行われるので、実質1カ月間で全衣装を完成させます。
出来上がった衣装を生徒が試着します。宝塚以外の舞台公演では衣装合わせ後、本番直前に“衣装パレード”と呼ばれる最終チェックがあるのですが、宝塚ではそれがないのでここでしっかり合わせておかないと、いざ舞台稽古で「足が上がりませーん!」「手が広がりませーん!」となってしまうので、動きと共に念入りにチェックします。
出来上がった衣装を衣装室と早替え室に運び込み、本番2日前から本物の舞台を使って本番通りの衣装を着用して稽古します。ここで早替えが間に合うかなどを確認します。
初日の午前中。舞台稽古で上がった問題点を全て解決し、本番と同じ条件で最初から最後まで通します。
幕が開いた後は、本番中の早替えの手伝いと洗濯などのメンテナンスを担当します。