宝塚歌劇の舞台に立つタカラジェンヌになるためには、2年間、宝塚音楽学校でレッスンを積まなくてはなりません。「清く 正しく 美しく」をモットーにするタカラジェンヌは、音楽学校時代から普通の学生生活からは予想できないほど厳しい作法を守っているのです。
その厳しい2年間があればこそ、舞台の上で輝けるタカラジェンヌになれるのです。
今回は、宝塚音楽学校の作法をいくつかご紹介します。読んでいるだけで、背筋が伸びますよ!
(出典:毎日新聞)
「予科」「本科」上下関係にまつわる作法
宝塚音楽学校では、1年目を「予科」2年目を「本科」と呼びます。基本的なマナーや礼儀作法は、本科生が予科生に指導するのがならわしです。そのため、宝塚歌劇においては、同期のつながりだけでなく、「1個上さん」「1個下さん」というつながりも重要視されます。
本科生の指導は、「ベルサイユのばら」初演の頃からどんどん厳しくなったとされています。この指導は、学年によっても方法や内容が変わります。2008年ころからは、厳しすぎる指導が禁じられていたので、少しずつ緩やかになっているようです。
この上下関係は、音楽学校を卒業しても、宝塚を卒業しても続きます。今は少なくなってしまった体育会系的な上下関係があるからこそ、宝塚という特殊な空間の伝統が100年変わらず引き継がれてきたのかもしれません。
本科生から指導される作法「予科生の心得」
(出典:Twitter)
本科生が予科生に指導する不文律は「予科生の心得」と呼ばれています。
例えば、
- ・登下校の際は、姿勢を正して、2列で進む
矯正や笑い声は立ててはならない
道行く上級生一人ひとりに挨拶をする - ・阪急電車に乗車するときは、一番後ろの車両に乗る
電車内での着席は厳禁
下車駅で電車におじぎをする
(歌劇団員は、阪急電車の社員であるから) - ・校内では、廊下の端を歩く
また、基本的に連帯責任で、一人が怒られるのではなく全員が怒られるというのも独特ですよね。だからこそ、横のつながりは強く深く「同期は家族以上の存在」となるのです。
音楽学校生の服装の作法
音楽学校生といえば、あのグレーの制服が印象的ですよね。実は、制服周りでも細々とした作法があります。
- ・予科生の髪型は、男役がリーゼント、娘役は毛先までしっかり編み込んだ三つ編み
- ・白の三つ折りソックス
- ・靴は、予科生が黒のローファー、本科生が黒のパンプス
- ・腕時計は黒革ベルト
また、私服でも赤いものやブランド品はNGという風潮もあります。制服も、きっちり着こなされているので見ていて清々しいですよね。