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-好きな宝塚演出家たちを特徴と共に語る秋の夜長-ボン乃セリ美のコラム『特急乗るなら観劇増やす』第6回

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第6回 好きな宝塚演出家たちを特徴と共に語る秋の夜長
~夕方に色めき立つ~

さてこのコラムも第6回目となりまして、セリ美宛てにコメントも頂くようになってとっても嬉しい最近ですが、「今週のコラムつまんねえなセリ美!」と思われやしないかとヒヤヒヤしている部分もかなりありつつ今日もがんばって書いてみたいと思います。

 

 

↑ 過去作品の公演年などを調べているうちに不意に素敵なジェンヌさんの画像が出てきてそのまま流れ流れて仕舞いには動画まで観始めて全然仕事が進まないセリ美図 ↑

 

 

今週も調子に乗って変な絵を描いてすいません。

描画にちょっとハマってきてしまいました…

 

さて、ヅカファンという生き物の生態はなかなか特殊でして、ファンになってからというもの、お金の使い方やSNSの活用法など、多方面に変化が出てきますね。

 

家族旅行や仕事などで少しでも関西(東京)に近づくと「ついでに兵庫(日比谷)まで行けないだろうか」とナビタイムをすぐに起動させたり。

テレビドラマなどから「最後に勝つのは」とか聴こえてくると「このオぉぉ~レさぁぁぁぁ~」と急に歌い始めたり。

手帳に「雪東初」「花DC楽」「キキ茶」とか素人にはおよそ理解できない暗号が書き込まれるようになったり…

 

 

そんなヅカファンの生態の中でも、平日の夕方付近になると公式サイトのニュースチェックなんかも日々のルーティンに含まれていることと思います。

公演作品の決定とか主演者が誰だとか、はたまた退団者が発表になったとか、まぁ主にそれらがビッグニュースとなるわけですが、実は私がいちばん色めき立つニュースってのは、

 

「スタッフ募集」

 

なんですわ。

そりゃね、演出家募集とか宝塚オーケストラ団員募集とか、そういう今からじゃどうにもならんわいっていう職種はさておき、「キャトルレーヴスタッフ募集」「宝塚舞台スタッフ募集」とかがたまーーに出るじゃないですか。ちょうど今なんて「楽屋スタッフ」の募集出てますよ!なんという興奮ワードでしょう!!

 

なんかね、もう今の生活すべて捨ててひとり気ままに武庫川のほとりで穏やかに生きていくのもいいかもなって一瞬本気で考えてしまうんですわ。

 

 

音楽学校生と一緒に大橋を渡って出勤したり、チャリ通勤のジェンヌさんを毎日見かけて心の中で挨拶したり、宝塚市役所から意味もなく住民票をもらってニヤけたり…

別に自分一人食べていく分にはアルバイトだって構わないし…小さなワンルームアパートで充分だし…

 

 

【suumo】宝塚市の賃貸住宅[賃貸マンション・アパート]情報 検索結果

 

…ってね、歌劇団公式HPを見ていたはずなのにいつも気が付くとsuumoのサイトを凝視してるんですわ。やっぱ阪急沿線は高いよなーでもユニットバスは嫌だしなあとかブツブツ言いながら。

 

そんな風に私を色めき立たせる公式HPの求人ニュースなんですが、やはりセリ美は今もこうしてこの仕事をしているように、最も色めき立つのが「出版物 編集者募集」ですよね。

もうね、動悸がすごいのよ。

「出版物 編集者募集」の文字見つけた途端、瞳孔開いちゃってると思いますね。

 

 

そんで実際には、採用試験受けたこともあります、実は。

3次選考まであって、一応最終にも残ったんですけどねーーーもう29歳だったから落ちたってことにしときましょうか。他に最終まで残ってた皆さんはほとんど大学4年生でした。あの中のどなたが夢を掴んだのかしら。

でも、今になって思うと、あまりに宝塚が好きすぎる人は避けるみたいな傾向があったようなので、そのあたりが一番の不合格理由のような気がしますね。

 

その時のお話も是非書きたいのですが、支障があるかもしれないので残念ながらここまでにしときます。

ただ、もんんんんんのすっげーーーーーー刺激的な体験でした。受けてホントに良かったです。冥土の土産になりました。

 

なので、いまだに編集者募集の告知を見ると諦めきれない夢がむくむくと湧き上がってくるんですが、宝塚市民になるのは老後の楽しみに取っておきます。

 

関連記事はコチラ

 

第6回 好きな宝塚演出家たちを特徴と共に語る秋の夜長
~セリ美的ツボにハマる演出家たち~

さていつものごとく導入部分で大胆な逸脱ぶりを見せましたが、そういえば今回のテーマは演出家でしたね。忘れてた。

そりゃね、演出家だって才能があるものならなってみたい!

 

なんであのスターさんにもっとああいう場面やらせないのよ!とか、この人はダンサーなんだから和モノなんてやらせなくてもいいの!とか、毎公演毎公演皆さんそれぞれに意見をお持ちになると思いますが、そんなに言うならじゃあ演出してみなよって言われたら…

やっぱりそれは難しすぎる。まず、大学受験からやり直さねば。

 

 

クリエイティブな仕事はみんなすごいと思いますが、3次元を作り込んでいく舞台演出家っていうのは本当にすごい仕事だと思いますね。

ストーリーを構築して宝塚ならではの配役を正しく配置してこんな衣装を着せてこんな音楽を使って…って、他の舞台より制約がある中で、お芝居にしろショーにしろ、宝塚の演出家の頭の中どうなってんだっていつも思います。

そういう基本的なリスペクトをしっかりと根底に置いて、ボン乃セリ美セレクトの好きな演出家、いってみましょう。

 

荻田浩一 先生

いきなり宝塚にいない先生かいっ!

っていう…ね。なぜ辞めてしまったのだオギー!!!ばかばかばか!

これはもうね、根強いファンもたくさんいらっしゃることでしょうから、あえて説明するまでもないとは思いますが。

 

 

もうね、荻田先生以上の先生はいない。そう思えるほど、いつもどんな作品も完璧な演出でした。特に、歌える人には歌を、踊れる人にはダンスをっていう正しい措置が好きです。

ショーはもちろん、何作か作られたお芝居の方もすっごく好きでした。背徳的で胸を掻きむしられるような切なさと美しさがね、これぞ舞台芸術。

 

 

 

そしていつもすごいマニアックなところから楽曲を持って来られるんですが、でも名曲揃いで。

「マラケシュ・紅の墓標」の劇中で使われていた曲なんて、アニメのサントラから使用してました。でも素晴らしくいい曲で、「オギー、天才だなやっぱ」といつも私は唸らされてましたね。

いわゆる打ち込み系と呼ばれる電子音を多用していたのも、音オタクだなーとか思って斬新で良かった。もっとオギー作品観たかったよーう!

 

 

しかし、宝塚を辞められてからもOGとお仕事をすることが多いようです。

タカラジェンヌさんの中にもオギーファンはたくさんいるようなので、ご指名がかかるんでしょうかねえ。

ちなみにセリ美の神様である水夏希さまも荻田先生の作品が「大ッッッスキ!」だと仰っておりました。うふ。

 

藤井大介 先生

もうね、不動の人気ですよね。藤井先生に何度泣かされたことか。だって私を医務室送りにした人ですよ?!

(参照:-宝塚の劇場には医務室がある!-ボン乃セリ美のコラム『特急乗るなら観劇増やす』第2回)

熱い!パッション!エネルギッシュ!オラオラ!と言えばもう藤井先生の専売特許と言ってもいいんじゃないでしょうか。

 

 

生徒さん達への深い愛情を感じる演出にも、ファンはいつも感謝。特にサヨナラ公演のショーが藤井先生だと分かると「ああああああああ良かったああああ!」と思う人がほとんどではないでしょうか。

もうね、去年の元旦に「HOT EYES!!」観たときは開いた口がふさがらなくって、いやホントに。大袈裟じゃなく。

初日だったので藤井先生を劇場付近で見かけて、つい駆け寄って無言で手を握りブンブンとシェイクハンドしたい衝動を抑えるのにとても苦労しました。

でも、昔はもっと爽やかだったのに数年ぶりに見た藤井先生はなんだか70年代のヤンキーみたいになっていた…

 

正塚晴彦 先生

はい、好き嫌い分かれる先生ですね。

確かに私も当たり外れが激しいなーとは感じています。あとはちょっと芝居にリアルを追求しすぎだよなとも思います。テレビドラマじゃないから、あくまで舞台だから、しかもリアルっつっても主役演じてるの女性だから既にそこでリアルじゃないから、といろいろ思うところはあります。

私思うに、正塚先生は小劇場が向いてますね。あーすっごくいいなーと思った作品はたいていバウホールでした。

 

 

「マリポーサの花」は大劇場公演ですが、久々に正塚作品で「当たった!」と思った作品でした。

まぁまかが再演して大好評だった「メランコリック・ジゴロ」も素晴らしい名作です。

あとは娘役さんの台詞回しが何とかならんもんですかねえ。

 

木村信司 先生

この先生も好き嫌い分かれますね~しかもやっぱり台詞回しが独特。正塚先生とは真逆のベクトルで。

キムシンはとにかく、愛、愛、愛。

毎度盛大にムラの中心でトップさんは愛を叫んでいます。

 

 

あんなつるっぱげのウォーリーを探せみたいな感じで「愛だよ、愛!」なんて思想を持っているあたりが非常に興味深い先生です。もちろん「王家に~」も好きなんですが、やっぱり私は鳳凰伝と不滅の棘。

舞台にプールを作ってミズ様を水浸しにしちゃおうとか、そういう演出がとても好きです。今度の月組全ツではさすがにそれは無理だと思うのでどのような演出になるのか非常に楽しみ。全ツはチケ取りにくいけど行きたいな~

 

 

不滅の棘もこのたび初めての再演が決まり、とっても嬉しい限りです。永遠の命っていう設定はありがちなんだけど、衣装とセットを全部真っ白にしちゃってところどころ重要なアイテムにだけ原色を使うっていう、ここでも斬新な取り組み。

 

 

あとアーネストも大好きです。2時間ずっとニヤニヤニコニコしちゃう。これもサンドイッチとかマフィンとか実際に食べちゃって~なんていう、宝塚的には珍しい演出。当時はスミレコードでしたしね。

キュウリが嫌いな樹里ぴょんが千秋楽にキュウリサンドを無理やり食べてたの面白かったな~!

 

やっぱり宝塚はストレートプレイではなくて華やかなエンターテインメントだから、客をハッとさせるようなこういう仕掛けを思いつくのも宝塚の演出家としてはすごく武器なんじゃないでしょうか。

 

上田久美子 先生

最近ノリにノリまくっている大人気若手演出家のウエクミ先生は私も毎度非常に感心させられます。生で観たのはまだ星逢と神々だけですが、単なるお涙頂戴話とは明らかに違う深み。

私は登場人物が死ぬという安易な演出が苦手で興ざめしてしまうのですが、ウエクミ先生の作品は、もうそうするしかないよね…それでも明日はやってくる、前を向かなきゃ!っていう納得のいく悲劇で。

 

 

しかも、とても美しい。「とても悲しくて、とても美しい」っていうのがウエクミ先生の作品に流れる空気で、でもなぜか観劇後に残るのは「美しい」のほうが圧倒的に強い。晴れた冬の夜明けみたいな。

今回の「神々~」も、演者さん達は非常に難しいと思いますが、それだけ達成感もすごいものがあるのではないでしょうか。

次回作はショーに挑戦されるそうで、ウエクミ先生が作るショーってどんなものなのか、ものすごく楽しみ!!

 

第6回 好きな宝塚演出家たちを特徴と共に語る秋の夜長
~タカスペのパロディーコーナー復活希望~

あとは酒井澄夫先生も好きですし、柴田侑宏先生も植田景子先生も齋藤吉正先生も好きです。

そしてきっと私がまだ観ていない若手演出家の先生の作品もたくさんあるので、今後また「あらっ この先生いいじゃない!」ということもあるでしょう。

 

伏線の回収ができていないとか、意味が分からんとか、ストーリー上の不明瞭な点がある作品もたくさんありますが、私としてはスターさん達にときめければそれで良し!という単純な考えですね。

そう、ときめくのが我々の仕事ですから!

 

あ、いまちょっとかっこいいこと言った。

 

 

それでは、三度目の銅鑼が鳴りましたのでこの辺で失礼いたします。エジプト高校の不良たちがラクダで暴走しているのを止めに行かなくては。

 

 

 

次回は「難易度の高い観劇、それは新人公演」について語ってみます。

 

ボン乃セリ美のコラム『特急乗るなら観劇増やす』過去記事一覧


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